プロローグ1

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空間が広くとられた大学の教室。 まばらに座る生徒の真ん前には、無駄に年をとり、顔にシワを刻んだ男が声を発している。 なんてくだらないんだろう。僕はベクトルの分析について書かれている本をめくりながら、あくびをした。 大きな口を開けていると、教授がこちらと視線がぶつかった。 男は頬の筋肉を緩めて、僕にしか気づかないように笑った。 「ロボット工学で必要とされる人工知能のアプローチとして使われるファジィ集合論の説明をしなさい」 きっと、説明をするのは僕だ。 「そこの君」 ほらね。じゃあ、教えてあげるよ。 「ファジィ集合論とは、曖昧な対象をメンバシップ関数を用い、集合体にして数値化したものです」
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