プロローグ1

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白髪の男は、眉と眉の間に年輪を寄せた。だが、またさっきと同じように笑った。 「その通りだ。君はアイザックアシモフのロボット工学三原則をどう思う?」 「ロボットのあるべき姿だと思います」 今度はみんなにわかるように笑って見せた。でも、生徒は年寄りの顔を興味深く見ているわけがない。 「実に古い考えだな。的を獲ているが、今は違うんだよ、ロボットは犯罪を犯す」 「ロボットの感情は排除するべきです」 教授の目には嫌悪感があった。僕は怯(ひる)まない。怯む必要がない。 「人間に近づけることが、ロボット工学の発展だと思わないか?」 答えはひとつだ。 「それはマッドサイエンティストの考えです」 「つまり、何が言いたい?」 「僕らは、神なんかじゃない」 教授は手を上げた。本当に筋肉を使って手を上げたのだ。そして僕に最後の質問をした。 「君の名前は?」 「アトムです」 ―――
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