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僕は卑猥な芸能ゴシップの写真だけ眺めていると、自動ドアが開き、彼が入ってきた。
他の商品には目もくれず、燃料コーナーの方までテクテクと歩いていく。
こっそりと、棚に隠れて覗く。彼は辺りを気にしながら、携帯用充電ボトルを手に取った。
彼の身長は70センチほどで、老婆の寝ているカウンターを通過した。
ひねくれた言い方をすると、老婆の生死を確認せずだ。
前は見失ったが、今回は逃がさないぞ。
今、僕を動かすエネルギーは“好奇心”だけだ。
人とロボットの中をかき分け、彼は歩く。その後をついていく。
彼は、人通りの少ない路地へ進んでテクテクと音を立てる。まるで、彼はウサギだな。僕はアリスか。
僕の周りを高い影が覆う。陰湿で暗い通りだ。
ひねくれた言い方をすれば、外でテントを張って都会でキャンプをする人が寝泊まりしている場所だ。
彼は人が寝ているテントを素通りして奥へ進む。そこは鉄屑が捨ててある。
そこで彼は立ち止まった。僕は彼に近づき、鉄の腕を生身の腕で握った。
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