12人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえ、ヒカル。どうしたの?」
「ううん、なんでもないよ愛流。……ただ、寒くなってきたなって」
「ああ、確かにそうだねー。最近寒いよね」
そう言って、彼女――天見愛流は頷いた。その拍子に触覚も揺れる。
可愛らしいチャームポイントだ。
「衣替えは何時なのかな?」
「そろそろだと思うんだけど、分からないな。高校一年生の秋じゃ、まだ経験もないし」
「あたし、この高校の冬服って結構好きなんだけどな」
「そういえば、前にもそんなこと言ってたね」
確か春だったかな。いや、もっと前か。中学の時だったかもしれない。
「何だか制服っぽくないところが、すごく好きなの。あの色と模様。ああ……可愛いなー!」
うっとりと陶酔する愛流。そんなに良いのだろうか。僕は女子高生制服マニアじゃないので、ちょっとよく分からない。まあ、本人が気に入っているのだったらそれでいいけど。余計な質問をすると、小一時間くらい説教まがいのものを喰らいそうだし。
愛流は好きなものにはうるさい。特に服に関してはこの上なく。
最初のコメントを投稿しよう!