その19

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和「はぁっ、はぁっ… な、どこまで行くんだよ…っ」 仁「…」 和「うわっバカ!! 急に止まるなって!」 仁に掴まれてる右腕が痛い 俺はあの格好のまま教室の外に連れ出されて、廊下を黙々と進む仁にただ引っ張られるだけだった。 人通りが少ない、来月取り壊しが決まって今は使われていない校舎への渡り廊下で仁は止まる。 仁「お前なんか、変なことさ…っ?!」 和「さ…?」 なにかを言いながらこっちを振り向いた瞬間、息を飲んで黙り込んだ。 ちょっと… そんなまじまじ見られても… 和「そ、そんなに変? 俺着替えてこよっか…」 仁「いやっ! いいよ、超似合ってる」 和「そ、そう…?」 仁「っつーか、すっげー可愛い…」 和「え…っ?」 そんな、真面目に言われると なんか照れるんですけど… 仁「あ、うん、可愛い! その辺の女子より全然可愛い! だから、お前、その… なんか変なことされなかったか?」 和「はっ? そんなわけないじゃん」 仁「ほんとか?!本当か?!」 和「本当だって! それより、仁だって…」 さっきから気になってたんだよ 妙に膨らんでる、仁のブレザーのポケットを指差す。 メモ用紙がはみ出てるんだ。 もしかして、それってさ… 仁「あ、あぁ… こんなの、いらねーよ」 和「えぇーっ?!」 どいやら俺の予想は当たったみたいだけど 仁はそのメモ用紙達を まとめて近くのゴミ箱に放り込んでしまった。 仁「いらないよ 俺はかず以外とメールなんかする必要ねーし!」 和「…バカ」 仁「なんだよ、嫉妬したくせに」 和「うるせー嬉しいんだよ!//」 仁「っ、かず…」 お前、マジで可愛いな 再び真面目な顔してそんな事を言う仁に だから俺は男だって! 言い返そうと思ったのに、不意に顎を優しく持ち上げるようにつかまれて、思わず言葉を飲み込んだ。 .
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