麗しの男の娘

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(水樹…怒ってた…) 屋上にぽつんと佇む一人の美少年。 風に銀髪が揺れていた。 「だめだ…これからあいつを誘惑して水樹から視線をそらさせないと…。」 「でもやっぱり気持ち悪いし、ムカつく…」 美咲は彗の顔を思い出したのか眉間にシワを寄せた。 「水樹…」 空を見上げながら切ない表情を浮かべる美咲。 すると、屋上の扉がキーと音を立てた。 一人の女の子がゆったりと歩いてきてフェンスに寄りかかり、座った。 「……………。」 一瞬視線を交わしたものの、二人が会話をすることはなくお互いの世界へと入っていった。 暫くすると、一限終了の金が鳴り流石にこれ以上さぼると水樹に叱られると思った美咲は屋上から出ていくことにした。 すると突然フェンスに寄りかかり読書をしていた少女が声をかけてきた。 「止めとき…、不毛やで…」 (は?) 一瞬一人言かと思ったが後ろを振り返り少女を見つめる美咲。 「あんた何?不毛って何が?」 と美咲が言うと、少女が読んでいた本から美咲へと視線をずらした。 「神崎静瑠(カンザキシズル)、あんた…噂の天堂美咲やろ?」 どんな噂かは知らないが、噂の対象になることは美咲にとってはいつものことなので気になることはなかった。 しかし、問題はこの神崎と名乗る少女が自分に何が言いたいかだ。
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