麗しの男の娘

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色素の薄い茶色のゆるくパーマがかかった長い髪が風に揺られていた。 少したれ目気味な右の瞳の下には小さな黒子(ホクロ)が一つあり、知的な印象を与えている。 白い肌に薄桃色の唇… 多分こういう女を美少女って言うんだろうなって思った。 (神崎静瑠…、多分一度もあったことないよな?) 基本的に自分と水樹意外どうでもいい美咲はあまり他人の名前を覚えたりはしない。 しかし、この少女とは今回初めてあったことは確信できた。 「冷やかしなら止めて…」 そう言って立ち去ろうとした美咲だったが、次の静瑠の言葉で立ち止まる。 「水樹…」 「っ…!」 「あんた…さっきそう言ってましたやろ?」 (…聞かれた…) 美咲の握りしめた拳にさらに力が入った。 「切なそうな声で、実の姉の名前を…」 「それは不毛ってもんでは?」 少女が持っていた本を床に置いて立ち上がった。 ゆっくりと固まった美咲に近づいてくる。 「あんたの姉さんがこのこと知りよったらどんな顔しはりますやろうか…」 妖艶な笑みを浮かべる静瑠。 そして固まる美咲の顎を手でなぞる。 ビクッと美咲の体が揺れた。 「何を言ってるのかわからない…」 美咲が精一杯静瑠を睨んだ。 しかし、静瑠は笑みを崩すことなく話始める。 「これ以上、実らぬ恋にその身を焦がすと…いつか燃えカスになってしまいますよ。」 「何が言いたい…」 美咲の背中に一筋の雫が滴り落ちた。
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