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「ね―、君達教室いかないの?」
「へ?」
二人の視線が同時に一人の男の子に集中した。
それが俺達の関係を終わらせる存在になるなんて…
藤本彗(フジモトスイ)と初めて会った瞬間にそれは決まってしまったのかもしれない。
心なしか、水樹の顔が赤いのを美咲は見逃さなかった。
声をかけられて振り向いた二人をみて彗も固まっていた。
「えーと…この学校って女子もズボンはけるんだな…」
そう言って顔を赤くしながら口元に手を当てた。
「は?」
その言葉を聞いてぼーとしていた水樹も同時に声を上げた。
「でもさ、君にはスカートの方が似合うんじゃない?」
ああ…またか、
美咲は小さくため息をつき、言った。
「僕は男だ…」
「あっ…そうだよな…」
「ってえぇ―!」
周りにいたギャラリーも一斉に声を上げた。
今度は女子のキャーキャーという声も聞こえてくる。
「あ…そ、そうなんだ…」
「それじゃ…」
美咲はそれだけ言うと水樹の手を引きながら教室へ向かおうとした。
しかし、彗は今度は水樹の手をつかんで呼び止めた。
「俺、藤本彗って言うんだ。よろしく!」
「あっ、え…と私は天堂水樹。でこっちが弟の美咲。」
(ちっ…)
美咲は心の中で舌打ちした。
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