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    「早速ですが明日、残存する敵機の掃討作戦に参加してもらいます」   サージ・タカマハラは、昨日、新しい上司に云われた言葉を思い出していた。   女。そういう声と容姿をしていた。あのくらいの階級なら、無性者かもしれないけれど。   自分より若くて未だ十代のように見えるのに、そう見られることを嫌っているかのような、透明で抑揚のない口調。   サージはその言葉と今現在の状態を重ね合わせて、自分のゆく末に思いを巡らせていた。   『1311』   今度は直に、男の声が響いた。サージはふと我に帰ると、その声に応えなければと思った。   今、13とは彼のことを指すからだ。   「13(ヒトサン)」   自分の口元に在るインカムに、そう吹く。ヘルメットと酸素マスクにくるまれているので、少し話しづらい。   コクピットに収まり、他の2人の僚機と共に飛行している彼にとって、それは至極普通の行動だった。   操縦席は狭くて暗く、正面の視覚モニターとオレンジ色に光る計器類だけが、視界の全てだ。   『サージは何度目だ?』   ヘルメットの中のイヤホンが疑問を投げかける。   サージはその意味を少し考えて、   「実戦のこと?」   『そうだ』   「何度も」   そう応えた。確か12回くらいだったと思いながらも、もう数えるのを止めていたからだ。   『結構。よろしく頼む』  
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