【いとしいひと】

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すきで、 ずっといっしょにいたくて。 でもすきもずっとも信じられなくて。 だけどそれでもすきで。 ずっといっしょにいたくて。 そうやってひとりでどんどん破綻していってしまう弱い彼が、かわいそうで、いとしい。 「ごめんね、すきなんだよ、」 わたしがまた呟くと、彼の動きがぴたりと止まる。 そしてわたしの首からゆっくりと手を離して、ベッドの淵に腰掛けると、頭を抱えるようにして両手で自分の顔を覆った。 「…きみは、こわい」 彼のくぐもった声が響いて、この部屋の闇に呑まれていく。 わたしはただもう一度、彼にすきだ、と。 あいしてる、と。 そう言ってほしいだけなのかもしれない。 あのきれいなキスしてほしいだけなのかもしれない。
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