【いとしいひと】

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わたしは彼を愛している。 だから当然、彼がお医者さんから処方されたお薬を誤った服用法で、つまり一気に大量に飲もうとしたときはそれを止めたし、 無闇に自分の体を傷つけようとしたときはそれを止めたし、 彼の閉め切ったまっくらな部屋のカーテンを開けてあげて、おまけに窓も開けて換気してあげた。 わたしは彼を愛しているからだ。 でも彼はきっと、わたしのことを愛しているかどうかは別にして、わたしの愛はいらないんだと思う。 そう思うたびにわたしはかなしくなって、さみしくなって、思わず呟いてしまう。 行き場のない気持ちを。
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