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こいつ本当に馬鹿なんだなぁ。
なんて思いながらペダルに足をかけた。
「行くぞ」
ふいと織科を振り返る。
眼前に織科の顎先が見えた。細く形の良い顎。
額に微か触れた肉の感触。
「ふへへへへ…」
なんて気の抜けた顔で笑うから真尋は開いた口がふさがらなくなる。
「一人で帰れ。」
「そ、そんなぁ。おでこくらいいじゃないですか…」
聞いていられないとばかりにペダルをこぎ出す。
ぎゅうぎゅうと変な音を出す心臓を押さえつけながら、自転車を漕いだ。
その後ろを、織科は全力で追いかけてきていた。
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