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200ループ走者らしい、長い股下を見た。
スライドの長さは陸上競技にとって有利に働く。頭の小ささや腕の長さもこれにしかり。
頭が小さければ風の抵抗は軽減される。
その小さな頭の少しきつい目が途端に潤んで真尋は盛大に驚いた。
「酷いです。マヒロ先輩」
途端に目の前で大洪水が起こる。
「何故、泣く」
思わず言葉遣いがおかしくなる。
「俺はマヒロ先輩が好きだって意味で言ったんですよぅ」
語尾を伸ばすな。気持ち悪い。
競技用ランニングからにゅうと伸びた手でべそべそと涙を拭う。
4継(200M×4リレー)を走り終えた体は汗ばんでべたついていた。
これが雛樹真尋と織科綾瀬の付き合いの始まり。
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