家族

2/7
前へ
/387ページ
次へ
「エリさぁん 今日のご飯は、何が良いですか~?」 ポカポカと天気の良い昼過ぎ、買い物に行こうとするシオン。 シオンの質問に、テレビの音声に混じって返事の声が、小さく聞こえてくる。 「…何でも良い~………」 「何でも良い~じゃ、買い物しようが無いですよぉ」 シオンはそう言って苦笑しながら、窓から風の入る廊下から、広いリビングに戻る。 するとソファに座っていたエリは、少しだけ考えるような仕草をして、ボソッと呟いた。 「………じゃあ…肉が無いやつ」 「お肉、嫌いなんですか?」 「うん」 嫌いな物の肯定の言葉は、しっかりと言うようだ。 「わかりました♪ じゃ~…ビーフシチューにします♪」 シオンは頷いて、満面の柔らかい笑顔で夕飯のメニューを決定した。 「……… …ビーフシチューは………肉入ってるから」 「へ?えぇと………あっ!」 考えて初めて気づいた。 ビーフシチューには肉は入っている。 肉は入れない、という話を今したばかりなのに、一体どこからビーフシチューなんて選択が出てきたのだろう。 「………でしょ?」 再度確認するエリ。 「そ…そうですね… じゃあ~…、スパゲティはどうですかっ?」 シオンは何とも苦々しい笑みを浮かべた後、また少し考えて尋ねてみた。 そこで間髪入れずに ミートソースじゃないやつね と先に言われた。
/387ページ

最初のコメントを投稿しよう!

232人が本棚に入れています
本棚に追加