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「エリさぁん
今日のご飯は、何が良いですか~?」
ポカポカと天気の良い昼過ぎ、買い物に行こうとするシオン。
シオンの質問に、テレビの音声に混じって返事の声が、小さく聞こえてくる。
「…何でも良い~………」
「何でも良い~じゃ、買い物しようが無いですよぉ」
シオンはそう言って苦笑しながら、窓から風の入る廊下から、広いリビングに戻る。
するとソファに座っていたエリは、少しだけ考えるような仕草をして、ボソッと呟いた。
「………じゃあ…肉が無いやつ」
「お肉、嫌いなんですか?」
「うん」
嫌いな物の肯定の言葉は、しっかりと言うようだ。
「わかりました♪
じゃ~…ビーフシチューにします♪」
シオンは頷いて、満面の柔らかい笑顔で夕飯のメニューを決定した。
「………
…ビーフシチューは………肉入ってるから」
「へ?えぇと………あっ!」
考えて初めて気づいた。
ビーフシチューには肉は入っている。
肉は入れない、という話を今したばかりなのに、一体どこからビーフシチューなんて選択が出てきたのだろう。
「………でしょ?」
再度確認するエリ。
「そ…そうですね…
じゃあ~…、スパゲティはどうですかっ?」
シオンは何とも苦々しい笑みを浮かべた後、また少し考えて尋ねてみた。
そこで間髪入れずに ミートソースじゃないやつね と先に言われた。
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