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スーパーはエリの家から駅に向かって、しばらく歩いたところにある。
シオンは買い物のメモを見ながら、人通りの多い道をスーパーに向かっていた。
「え~と…
マ〇―のスパゲティと~、トマトピューレと~ケチャップと―
…魚肉ソーセージ?」
本当にお肉は嫌いなんだ などと思いながら、シオンは交差点の信号で止まる。
大きなトラックが重力音を唸らせながら、ゆっくり通過して行く。
「エリさんが遠くに行けるようになったら…車で海に行きたいな…」
アンドロイドの少年はそう、ぼんやりと一人ごちた。
「――1750円になります」
手際良くレジを打っていた、女性型のアンドロイドが営業スマイルで言った。
「あ、はぁい」
シオンは、エリから預かった2000円を渡す。
もうこの時代には紙幣や貨幣などは過去の物となり、支払いは店も自販機も関係なく全て『キャッシー』というカードでの支払いになる。
現在、一番これに近い物は携帯の支払い機能に当たる。
「はい、2000円お預かりしまーす
250円の、お返しです
ありがとうございましたー」
「ありがとうございました♪」
シオンはお礼を返して、買った荷物を受け取って行こうとした。
「んしょっ…!」
しかし、小学生ぐらいしか身長が無いシオンにとっては、それは大きな荷物で、とても持ちにくい。
そして、荷物を一生懸命持ち帰ろうとしているその姿は、他から見ると少し微笑ましくも見える。
「大丈夫、ボク?」
レジ打ちの女性アンドロイドが心配してか、声をかけてきた。
「だっ大丈夫ですぅ~!」
強張った笑顔で返しながら、ふらふらと店から出て行く。
「リンゴなんか…買うんじゃなかったな~!」
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