愛ゆえに

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今更 義姉と呼ぶななどと 何処にも行くななどと ……言える訳が無いだろう そうさせたのは私自身だ 「お義姉様は綺麗だ」 私が綺麗だと? 馬鹿なことを言うな 私はこんなにも醜く、汚れている 現に今、 私はお前が欲しくて仕方がない… 近寄り、抱きしめて 「おね……」 その言葉はもう聞きたくなくて 深い接吻で遮る その首筋に顔をうずめ 唇を寄せ──牙を立てる 溢れてくるその血を 一滴も零さぬよう飲み干す 冷たくなったお前に 口付けを落として お前が灰になる僅かの間 強く抱きしめる お前の全てを手に入れて その後に残ったのは 一握りの灰と 冷たい闇と 狂気の満たされた心
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