高校一年生

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家がもう目の前に…………。 よし! こうなったら麗奈のおじさんとおばさんに助けてもらうしかない! 「あぁ!どこに行くんだ!? ルーク!!」 「へへへ、アバヨ、トッツァン!」 俺はそう言いながら麗奈の家へと入った。 「助けてください!! 翔也さん、絵梨香さん!」 翔也さんは麗奈の父で、絵梨香さんは麗奈の母だ。 「一体どうしたの、ルーくん?」 「おぉ、ルー坊じゃないか! 久しぶりだなぁ。」 二人とも俺の両親の中学時代からの親友らしい。 「麗奈が!俺を!調教しようと! 助けてください! 翔也さん、絵梨香さん!」 「いつも言っているじゃないか! 『お義父さん』『お義母さん』と呼びなさいと!」 いや、普通、ドラマとかならお義父さんと呼ぶなって言うよね? 「かくまってください。 翔也さん、絵梨香さん。」 二人は無視した。 くそぅ…………。 さすがは麗奈の両親だ。 「お……『お義父さん』『お義母さん』……。」 「よし来た!母さん、ルー坊をロッカーに隠しなさい!」 「はい、お父さん。」 かなり現金だな、この二人。 あ、麗奈が帰ってきたようだ。 「母さん、ルーク来てないか?」 「ルーくん? さぁねぇ? 仲良くするのは良いけど、あんまりしつこいと嫌われるわよ。」 「私はルークに嫌われてるのか?」 「かもねぇ…………。」 絵梨香さんのひとことで、麗奈が泣き出したようだ。 「ルークは……私のこと嫌いだったのか……。」 「そんなことない!」 俺はロッカーを思わず飛び出してしまった。 「「あ……。」」 絵梨香さんが必死で笑いをこらえてる。 くそ…………。 これがねらいだったのか! 「ルーくん、麗奈。 昨夜はお楽しみでしたね。」 「楽しんでない!」 俺はそう叫んだ。 「早く孫の顔が見たいなぁ。」 麗奈は顔を赤くしながら部屋に逃げていった。 「ルーくん、麗奈のことをよろしくね?」 「よろしくも何も…………。 アイツは俺のこと嫌ってるじゃないですか。」 「は?」 絵梨香さんの間の抜けた声。 「ったく…………。 この鈍感さもアイツラから受け継いでるのね…………。」 「あの…………絵梨香さん?」 「あ、うん。 仲良くしてやってね。」 俺はうなずくしかなかった。
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