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そうこう話していると、湖を越え、霧の中から一際目立つ紅い影が見えてきた。
「うわっ、想像よりも遥かに紅いなぁ」
これが悪魔の住む館、紅魔館かぁ。
こんな所にポツンと西洋風の館があるのは異様な筈なのに、何故か違和感が無いように感じてしまう、そんな不思議な印象を受けるな。
「ところで、これから私はどうするんだ。
結局、紅魔館の目の前まで来てしまったんだが」
「あぁ、ここの館に門番がいるのは知ってるよな?」
「こんな所に降ろされても、私に神社まで戻る術は無いんだぞ?
せめて人里ぐらいまで連れて行ってほしいな」
「その門番が拳法の使い手で意外と手強くてな。
ぶっちゃけ勝てるかは五分五分ぐらいなんだぜ」
「そういえば、人里には慧音がいたな。
できれば紹介してくれないか」
「あーーーーッ!!!
出たな泥棒魔法使いッ!!」
「おっ、噂をすれば出てきたな美鈴。
挨拶も無しに泥棒呼ばわりとは随分酷いぜ」
「誰も私の話を聞いてくれない……」
会話のキャッチボールが成立してくれないよ……。
激しいスルーパスの応酬だよ……。
「さて、ここで幽夢に頼みがあるんだ」
「頼み……?」
やっぱり嫌な予感がする……。
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