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さて、殴られる前にさっさと庭掃除を……。
「……あっ」
外に出るために玄関まで来て、あることに気付く。
「どうしたのよ」
霊夢がダルそうに障子から顔だけを出す。
「私の靴が無い……」
「……あぁ~」
そりゃそうだよなぁ~。
寝てて気付いたらここにいたんだし、靴なんか履いてるわけないよなぁ~。
「あら、靴が無いの?」
霊夢に続いて紫も顔を出す。
普通に出てくりゃいいのに。
「う~む、どうするか……」
そんな紫は無視して考える。
仕方ない、霊夢の靴でも借りるか……。
「あらあら、それは大変ね。
私が助けてあげましょう」
紫は胡散臭くそう言うと、私のいる玄関の方に歩いてきた。
「ほいっ」
そんな謎の掛け声を出しながら閉じた扇子を横に振ると、そこにスキマができて、そこから私が普段使っている靴が落ちてきた。
「おぉ~、すげぇ~」
「ありがたく思いなさいよ」
ありがたやありがたや。
流石ゆかりん、そこに痺れる憧れ……?
「……ちょっと待て、なんで私の靴がある場所知ってんの?」
私の家から靴を持って来れたってことは……。
「さぁ~?何で知ってるのかしらねぇ~?」
「そこでわざとらしく口笛吹いてごまかしてんじゃねぇ!!」
「はいはい、紫を問い詰めたって無駄よ。
それよりも」
「何よりも?」
「早く庭掃除をしなさい」
「……はい」
大人しく貰った靴を履き、私は庭に出て掃除を始めた。
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