最初だからって気合い入れたりしないよ?

8/10
前へ
/51ページ
次へ
夏もだいぶ終わりに近付いているということもあり、庭には落ち葉がちらほらと見受けられる。 まぁ、この程度の量なら庭掃除もそこまで時間はかからないだろう。 さっさと終わらせるか。 そうして、庭掃除を始めた私を眺めながら、霊夢は縁側でお茶を啜っている。 人に働かせといて自分は休憩ですかそうですか。 けど、そんな姿が可愛いから許す。 お茶飲んで「ほわぁ~」っていいながら暖かい日を浴びて和んでる姿が可愛いから許す。 「そういえば、あなたは妖怪に出会ったらどうするつもり?」 背後から突然、スキマから顔を出した紫に話しかけられる。 そこはかとなく心臓に悪いからやめていただきたい。 「あなた丸腰なんでしょ? 森で人喰い妖怪にでも会ったらイチコロよ?」 う~む、それもそうだな……。 「何かいい自己防衛手段でもないものか……」 私が首を捻って考えていると、何かを思い付いた様子の紫が霊夢を呼んだ。 「霊夢~、何か御札でもあげなさいよ」 「ふぇ?」 完全にOFFモードだったのか、話を聞いてなかった様子の霊夢。 可愛いなぁ、もう。 「何か使える御札ぐらいいくらでもあるでしょ? 一枚ぐらい、彼女にあげときなさいよ」 「そうねぇ……。 私があげなかった所為で死なれても後味悪いし……」 少し考えて、霊夢は神社の中に入っていった。
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加