剥離

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「……誰だ?今言った奴。」 「俺です。」 返事はすぐに返ってきて、手を上げたのはさっきいがみあっていた兵士の一人だった。 「今謝罪すれば許してやる。」 そう言っても兵士は謝る様子もなく、ただ睨みをきかせてこちらの目を見た。 その目は自分を蔑んでいるようだった。 弱いな。 と笑われているようだった。 「刀を持て。構えろ。」 冷ややかな目で命令する。 「結華様!それは…!」 公の言葉を遮って刀を構えた。 兵士も刀を構え、空気が変わった。 ああ、いつもの空気だ。 戦の、空気。 貴方と感じた空気だ。
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