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「結華、結華、待て。何があった?」
名を呼ばれ肩を掴まれる。振り向かされた先には心配そうに見詰める目があった。
「少し虫の居所が悪かっただけです。心配かけてすみませんでした。」
「部下に対して本気にはなるなよ…。」
俺もそんなときはあるがな。といいながら肩をポンと叩かれる。
「だが、お前が刀を振るところ初めてみたが、お前の刀は素直なのだな。今度は俺と手合わせ願おうか。」
悪戯っぽく笑いながらそう言った。
『結華の刀は素直だ。
今度一度手合わせを願おうか。』
頭がクラクラする。
さっきの酒のせい。
あの人が見える。
…触れられもしないのにね。
「忠征様…忠征様………。」
お願いですから置き去りにしないで。
結華はその場に崩れ去った。
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