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「迷惑をかけてすみません…。」
謝った。すると殿はゆっくりと口を開いた。
「倒れたことのことを覚えておるか?」
いいえ。と首を横に振る。ただひどく疲れたことだけ覚えている。
「忠征様。と呟いて倒れた。と英哉が言っておった。」
ゆっくりと確認するように発される言葉。
「忠征とは東国の山ノ下忠征のことか。お主の主であった。そして、わしが潰した。そうであろう?」
もう隠しようがないと力なく頷いた。
そう、今仕えている吏志軍(りし)に忠征は潰された。
そして今は吏志に仕えている。
「ここへ連れてこられた時のことを覚えているか?」
「はい。」
小さく答えた。忘れない。忘れられない。
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