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忠征が燃え盛る城で自害し、残された民と兵士と共に何もなくなった城下に座っていた。
残されている民らは吏志軍から手当てを受けていた。
名を馳せていた武将もさっきまでは殺しあっていた吏志軍の手当てを静かに受けていた。
肩に深い傷と、手は扉を叩きすぎて真っ赤に染まっていたけれど誰の手当ても受けなかった。
焼け崩れた城の前でただ立ち尽くしていた。
そして主を失った城は意味を持たず、残されたものたちは全て吏志の国へ連れて行かれた。
忠征から貰った刀は折れて、けれどその刀を握り締めて馬に乗っていた。
この馬も自分の馬ではない。
幼少から育てていた愛馬は足に銃弾を受けて死んだ。
連れてこられた国は忠征の国よりも盛んで、大きな国だった。
国へ入る前に顔と名前を調べていて、それが済んだら晴れて吏志の国の民というわけだ。
吐き気がした。
優しい国が恐かった。
どうせならここで殺してほしかった。
大切な人が死んだこの場所で殺して欲しかった。
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