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沈黙を吏志がゆっくりとした口調で破った。
「結華はわしに命を捧げる気はないのじゃろう?」
ゆっくりと、優しい口調だった。
隠しきれない。と結華は諦めて口を開いた。
例え今ここで切腹を言われても仕方ないことを口にした。
「…はい。昔も、今も私の命は……忠征様へ捧げています。」
言い終わった後、ふっ。と吏志は髭を揺らして笑った。
「正直な奴じゃ。 本来このような家臣を持つと反乱などの原因となるので切り捨てるのだがな。わしとしても結華を失うのは惜しい。もうしばらくわしに仕えてくれるか?」
はい。と小さく頷いた。
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