背中合わせ

6/14
前へ
/83ページ
次へ
「光輝って、暇人よね」 あーあっと欠伸をしながらあいつが言う。奴の発する言葉にはほとんど脈絡が無い。 思い付いたまま。 「…どこがだよ?」 「えー…?クラスで、仲良くも無い人にまでニコニコいい人ぶって。黙って人間観察してる方が楽しいのに」 …それは、お前だけだ。 「…そう言う菜月は、誰にもニコニコしてねぇみてぇだけどな」 厭味。のつもりだった。少なくとも俺は。 なのに、奴はさも当たり前かのようにケロッと言った。 「あら、だって私、仲のいい人なんていないもの」
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

510人が本棚に入れています
本棚に追加