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そしてあっという間に翌年の4月1日。私がこれから生活を送る「日本魔法科学総合研究所」は長野県にあった。もともと『国家機密』という名目で情報が強力にシャットアウトされている施設なので、どこにあるのかはまったくわからなかったが、最寄りの駅からバスで2時間半はかかるという今の世の中では考えられないほど人里離れた場所だった。やっとの思いで、研究所の門をくぐると、どっと疲れがやってきた。
「何で、こんなに遠いの……?バスから降りても30分近く歩き詰めとか……」
「それはもちろん、情報の漏洩を防ぐためでしょ」
文句を漏らした私の隣で、女の子の声がした。
「へ?」
横を見る。膝をついている私の隣で、私と同じくらいの女の子が涼しそうな顔で立っていた。金髪の髪で、私よりもはるかにお洒落な服を着た女の子。ぱっと見だけでも良いところのお嬢様なんだとわかる雰囲気を醸しだしていた。
「あなたもここのこと詳しく知らないでしょう?下手に情報が漏れて悪用されるのを防いでいるのよ。その分、都市の情報もこちらには来ないわ」
「ふ~ん……」
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