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次の日の夕方4時……。
俺はあの女に指示された通り桜丘駅へ来ていた。
「誰もいねぇじゃねえか…」
―― pipipipi
「もしもし?」
普段話をする声よりも低い声で電話に出ると、また昨日の女からだった。
『昨日、女と会っていたな』
「あんたに関係ないだろう?」
『……昨日の女が鬼だ。
気安く近づくな』
―― まもなく東山(あずまやま)行きが4両編成で到着します。危ないですから、白線の内側へとお下がりください。
電話をしている俺の後ろでは電車が来るという事を知らせるアナウンスが流れた。
そのアナウンスで女の声が潰された。
すると今度は……女の後ろから『バンバンバン』と拳銃が発砲された。
しかしその音は俺の後ろからも聞こえた。
俺は少し恐怖しながら、ゆっくりと後ろを振り返った。
「こんにちは。和希くん」
後ろには笑顔の智嘉さんが立っていた。その手には拳銃が握られていた。
まるで昨日とは別人の智嘉さんは笑顔のまま俺に銃口を向けてきた。
「とっ…智嘉さん?」
「どうしたの、和希くん」
「俺を打つんすか?」
「だって、このゲームは誰かが死なないと終わらないんだもの……利用規約しっかり読みました? 和希くん」
『バカ野郎!!』
智嘉さんの後ろから電話の女の声がした。
俺は受話器に耳を押し当て、『お前どこに居るんだよ!?』と聞くと、女は大きな声で叫びやがった。
『たわけ!! この女が鬼だって言ったであろう!?』
「智嘉さんが…信じるわけねえだろ!!」
俺が女と同じように大声で叫ぶと、女は智嘉さんの背後に居た。
女は智嘉さんとは真逆で赤茶色の短髪だった。
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