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「あら、やっと来ましたわね」
俺の到着を目撃すると、彼女はそんな事を言ってきた。
白のワンピースを着こなし、脚を優雅に組んでソファーに座る彼女。
俺と一切似つかず非なる双子の姉、つまり俺の姉貴――上宮加奈だった。
外国人の親から受け継いだ金髪碧眼が映え、いかにもお金持ちというような雰囲気を醸し出している。いや、実際に金持ちなのだが、ここまで具体的に示さなくともいいと思う。
「俺を呼ぶなんて、何かあったのか姉貴?」
「まあ、とりあえず座りなさい」
「ああ」
俺が柔らかすぎるソファーに座ると、姉貴は一枚の紙を俺に差し出した。受け取って見ると、住所が書かれていた。
「何だこれは?」
「あなたに、今からそこへ行って荷物を貰い、この家まで持ち帰ってほしいのですわ」
「いきなりだな」
何の予告もせずにそんな事を言われても困るのだが。
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