1.01

2/6
前へ
/89ページ
次へ
「あら、やっと来ましたわね」  俺の到着を目撃すると、彼女はそんな事を言ってきた。  白のワンピースを着こなし、脚を優雅に組んでソファーに座る彼女。  俺と一切似つかず非なる双子の姉、つまり俺の姉貴――上宮加奈だった。  外国人の親から受け継いだ金髪碧眼が映え、いかにもお金持ちというような雰囲気を醸し出している。いや、実際に金持ちなのだが、ここまで具体的に示さなくともいいと思う。 「俺を呼ぶなんて、何かあったのか姉貴?」 「まあ、とりあえず座りなさい」 「ああ」  俺が柔らかすぎるソファーに座ると、姉貴は一枚の紙を俺に差し出した。受け取って見ると、住所が書かれていた。 「何だこれは?」 「あなたに、今からそこへ行って荷物を貰い、この家まで持ち帰ってほしいのですわ」 「いきなりだな」  何の予告もせずにそんな事を言われても困るのだが。
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加