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追いかけっこ
「愛法?次、ジェットコースター終わったら、飯にしようか。何食べたい?」
「ええと…そうだなぁ…」
パンフレットに目を落として、
二人で園内のレストランを探す。
「通、ボクはパス…タ…」
顔を上げた愛法の顔 が雲った。
「愛法?」
急に途切れた会話に…
泣きそうな顔…
パンフレットを持つ手が震えていた。
「…どうしたの?」
「通…ボクの後ろに隠れて?」
「愛…法?」
俺達の後ろから、
近づいてきたのは…
黒いサングラスに黒いシャツ。
白いネクタイに灰色のスーツを着た、
背の高い外国人3人 だった。
「…aR-03。探したぞ?私達と一緒に、
来てもらおうか?」
「嫌だ!!!
それに…ボクはaR-03じゃなくて、天見愛法(あまみあいる)っていう…おじいちゃんが付けてくれた、ちゃんとした名前があるんだ!!!!」
「そのお前が祖父と言い張っている人間は、今何処に居る?」
「お前らが…お前らがっ!!!」
しゃくりあげる様に泣きながら、なんとか言葉を紡ぐと…
愛法は男達に突っ込んで行った。
そして…軽々と腕をひねり上げられ、取り押さえられてしまった。
「…愛法…!?ちょっと、お前ら…愛法をどうするつもりだよ?」
「どうするも、何も、aR-03は元々我々の所有物だ。元の場所に連れ戻すだけだ。…そこのお前…
お前は、どこまで知っている?」
「…通は関係ないんだよ!!!!何も知らないんだ!!!…通…お願い…逃げ…て…。」
「愛法…。」
…愛法を見捨てて逃げる訳にはいかない。それだけは、わかっていた…。
俺に、事情は分からない。けど…
女の子を泣かせるなんて…ろくな男じゃない…。
それだけは、分かっていたんだ…。
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