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一周回って観覧車は乗り場に戻って来た。
「中に居ないぞ?奴等何処に行ったんだ?」
「椅子の下はどうだ?」
男達が三人観覧車に入った隙に
俺達は観覧車から飛び降りた。
「逃げたぞ!!」
お互いの手を取り、改札口まで真っ直ぐに走る。
「…なんか…通…駆け落ちみたい…だね…。」
「…ぶっ…愛法?…意味…分かって…言ってる?」
「…愛の…逃避行…って…事…でしょ?」
そう言って愛法は、走りながら、ニッと笑った。
俺達は、真っ直ぐ北口の駐車場を抜けると…
隣の公園を突っ切るルートを選んだ。
駅までの近道なのだ…。
…駅に着けばタクシーを拾える。
しかし…
俺達より、
体格が良く、体育会系のあの男達との体力差は、歴然で…
距離は、どんどん縮んでいった。
「さぁ…鬼ごっこは終わりだ。」
「嫌だ…ボクは、絶対帰らない。」
「aR-03…そうやって、…お前は、また周りの人間を失うんだよ。」
カチャっと、金属的な音がして…
俺は、振り返った。
「…通っ!!!」
一瞬の事だった…。
銃口は俺に向けられていたのに…
気がついて、危ないと思った瞬間…
目の前を愛法が横切った。
撃たれて、倒れたのは俺じゃなくて
愛法だった…。
「…愛法っ!!?おいっ…愛法っ!!!」
近づいて、顔を覗き込む。
「通…良かっ…た。」
そう言って笑った愛法は、わき腹に一発銃弾を食らっていた。
中から黒い液体が流れ落ちている。
「ちょっと…嫌だよ…止まれっ…止まれよ…!!!!」
俺は、自分のインナーを脱ぐと…
愛法のわき腹を縛った。
でも人間の造りとは違う体からは、黒い液体が溢れて
止まってなどくれない。
「なんで、何もっ…俺…何も出来ないんだ…。」
もっと、知識があれば…。
機械に対する知識があれば、適切な処置が出来るかもしれないのに…。
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