rain

1/2

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ

rain

      奴等が、居なくなると… 俺は、愛法を抱えて、駅へ向かった…。           警察に見つかったらマズいのは、此方も同じだ。   日本には“核兵器を持たない、作らない、持ち込ませない。”ってゆう鉄の掟があるし… 何より、愛法のこの状況を…説明出来ない。       俺は、駅に着くと… 愛法を抱きかかえたまま、タクシー乗り場まで行き、… タクシーに愛法を乗せると… 自分も乗っかった。       「お客さん何処までですか?」       俺は…運転手さんの問いに…、 行き先を考えずにタクシーに乗った事に気付いた。   愛法のケガは…病院に行っても、普通の医者には治せないだろう。       俺が、家に連れて帰っても、俺には彼女を治す為の学がない。      その時、愛法の唇がうっすらと開いた。    「rainまで…。そこの…オーナーなら…ボクを治せる…かも…しれない…から。」       それは、昨日…沢村との会話に出てきた …     …駅前のケーキ屋だった。              …タクシーはrainに向けて走り出していた…。       タクシーに揺られながらも、愛法のわき腹からは、黒い液体が流れ続けていて…     俺は、愛法の手を握って… わき腹を縛ったインナーを抑える事しか出来なかった。      「…通…。 …ボクの…ワガママ…一つだけ…聞いて…くれる?」       「なんでも言って。」     …俺の出来る事なら… なんでもするから…。       「18歳になったら…ボクを…お嫁さんにして…くれる?」       「…分かった。だから…だから、 一緒に行って治してもらおう? きっと、きっと、治してもらおう。」       涙で、にっこり笑った愛法の顔が、ぼやけて…       愛法の手が、それをそっと拭き取った。      
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加