5人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
rain
奴等が、居なくなると…
俺は、愛法を抱えて、駅へ向かった…。
警察に見つかったらマズいのは、此方も同じだ。
日本には“核兵器を持たない、作らない、持ち込ませない。”ってゆう鉄の掟があるし…
何より、愛法のこの状況を…説明出来ない。
俺は、駅に着くと…
愛法を抱きかかえたまま、タクシー乗り場まで行き、…
タクシーに愛法を乗せると…
自分も乗っかった。
「お客さん何処までですか?」
俺は…運転手さんの問いに…、
行き先を考えずにタクシーに乗った事に気付いた。
愛法のケガは…病院に行っても、普通の医者には治せないだろう。
俺が、家に連れて帰っても、俺には彼女を治す為の学がない。
その時、愛法の唇がうっすらと開いた。
「rainまで…。そこの…オーナーなら…ボクを治せる…かも…しれない…から。」
それは、昨日…沢村との会話に出てきた …
…駅前のケーキ屋だった。
…タクシーはrainに向けて走り出していた…。
タクシーに揺られながらも、愛法のわき腹からは、黒い液体が流れ続けていて…
俺は、愛法の手を握って…
わき腹を縛ったインナーを抑える事しか出来なかった。
「…通…。
…ボクの…ワガママ…一つだけ…聞いて…くれる?」
「なんでも言って。」
…俺の出来る事なら…
なんでもするから…。
「18歳になったら…ボクを…お嫁さんにして…くれる?」
「…分かった。だから…だから、
一緒に行って治してもらおう?
きっと、きっと、治してもらおう。」
涙で、にっこり笑った愛法の顔が、ぼやけて…
愛法の手が、それをそっと拭き取った。
最初のコメントを投稿しよう!