勘違いと学校生活。

1/2

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ

勘違いと学校生活。

        「通~?お友達の沢村君が、玄関に来てるわよ?」       ガラリと、部屋の戸が開いて… 母さんが部屋を覗き込んだ。               …忘れていた。今日は、面接の日だった。           「…居ないって言って?」       昨日すごく泣いたから…目は腫れていて… あまり寝付けなかったので、目の下には、クマが出来ていた。     …とても、見せられる顔ではない。          それに…昨日、愛法を連れて走りまわった為… 普段たいして使わない筋肉は悲鳴を上げていて、 とても動ける状態ではなかった。            ケーキ屋で前日泣きながら詰め寄ったのも… 今さらながら、とても恥ずかしくなり… 合わせる顔がないというのも本音だ。       母さんが沢村に話をしに行ったあと、廊下をドタバタと駆け上がる音がして… 沢村が部屋に顔を出した。       「おい!!羽柴…嘘を付くなら、もっとましな嘘を…?」         沢村は、パジャマ姿で毛布にくるまり… クマができて、目が腫れた俺の姿を見て固まると… 何を勘違いしたのか…?俺の肩に“ポン”と手を乗せて、こう言った。       「…女の子は、その子一人じゃないぜ?」       「え…ちょっ…沢村?何か…勘違いしてない?」       「何も言うな。分かってる…面接の方は、上手く言っておくから、今日はゆっくり休め。」       沢村とは、3ヶ月もつるんでいるのに、今まで見たことも無いような 優しい顔でそう言って、沢村は去って行った。        
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加