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勘違いと学校生活。
「通~?お友達の沢村君が、玄関に来てるわよ?」
ガラリと、部屋の戸が開いて…
母さんが部屋を覗き込んだ。
…忘れていた。今日は、面接の日だった。
「…居ないって言って?」
昨日すごく泣いたから…目は腫れていて…
あまり寝付けなかったので、目の下には、クマが出来ていた。
…とても、見せられる顔ではない。
それに…昨日、愛法を連れて走りまわった為…
普段たいして使わない筋肉は悲鳴を上げていて、
とても動ける状態ではなかった。
ケーキ屋で前日泣きながら詰め寄ったのも…
今さらながら、とても恥ずかしくなり…
合わせる顔がないというのも本音だ。
母さんが沢村に話をしに行ったあと、廊下をドタバタと駆け上がる音がして…
沢村が部屋に顔を出した。
「おい!!羽柴…嘘を付くなら、もっとましな嘘を…?」
沢村は、パジャマ姿で毛布にくるまり…
クマができて、目が腫れた俺の姿を見て固まると…
何を勘違いしたのか…?俺の肩に“ポン”と手を乗せて、こう言った。
「…女の子は、その子一人じゃないぜ?」
「え…ちょっ…沢村?何か…勘違いしてない?」
「何も言うな。分かってる…面接の方は、上手く言っておくから、今日はゆっくり休め。」
沢村とは、3ヶ月もつるんでいるのに、今まで見たことも無いような
優しい顔でそう言って、沢村は去って行った。
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