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「いい加減にしろっっ!!」
渾身の力で、束ねられた腕を引く。
外れない腕の反動で肩がギシリと軋んだ。
だけど、そんな事気にしていられない。
怒りで目の前が真っ暗になった様な錯覚。
「さっきからさぁっ!何なんだよっ。あんた、何考えてんだよ!?数日ぶりの再会がこれ?最悪だっ!!」
言葉以上の怒気をはらんだ眼で睨みながら、まくし立て、吐き捨てるようにいってやった。
間近にあったルキーノの瞳がほんの一瞬だけ小さく見開かれる。
自分の言葉が相手の頭に届いた事を確認して、俺は身を捩った。
「…どけよ」
どす黒い怒りが腹の底に蓄まっている。
こんな状態でルキーノと一緒に居たくなかった。
「…った…」
俺の上の大きな影が何か呟く。
聞き返すより早く影が揺らいだ。
降りるのかと思いきや、赤いライオンヘアーが肩口に沈んでいく。
傷口に痛みと共に感じた生暖かい感触。
それがルキーノの舌だと認識するより早く、奴の唇は移動していた。
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