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千花は、もう俺にうんざりするかもしれない。
でもそれでいい。
その方がお互いのためだ。
「…じゃあ一つだけ聞かせて欲しい」
真っ直ぐ俺を見る千花の目。
俺の中の汚い部分を見透かすような目。
大っ嫌いだ。
「結城さんのこと、ほんとに好きなの…?」
今一番聞かれたくないこと。
俺は鼻で笑って千花から目をそらした。
「何でお前にそんなこと聞かれなきゃいけないんだよ」
「だって…結城さん、あんまりいい噂聞かないから…前も彼女がいる先輩に言い寄って、付き合ったらすぐに別れたとか…
ショウにもそんな感じで言い寄ってるだけなのかもしれな」
「好きだよ」
「……」
千花の言葉を遮るようにはっきりと。
俺は言い放った。
「俺は結城が好きだよ。
どんな奴だろうと関係ない。
…お前にどうこう言われる筋合いない」
これでいいだろ?
これで満足だろ?
千花が結城のことを悪く言えば。
あいつの闇を知ってる俺も同じように言われている気がした。
俺も結城と同じなんだ。
千花とは違う。
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