共犯者

5/6
8103人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
千花は、もう俺にうんざりするかもしれない。 でもそれでいい。 その方がお互いのためだ。 「…じゃあ一つだけ聞かせて欲しい」 真っ直ぐ俺を見る千花の目。 俺の中の汚い部分を見透かすような目。 大っ嫌いだ。 「結城さんのこと、ほんとに好きなの…?」 今一番聞かれたくないこと。 俺は鼻で笑って千花から目をそらした。 「何でお前にそんなこと聞かれなきゃいけないんだよ」 「だって…結城さん、あんまりいい噂聞かないから…前も彼女がいる先輩に言い寄って、付き合ったらすぐに別れたとか… ショウにもそんな感じで言い寄ってるだけなのかもしれな」 「好きだよ」 「……」 千花の言葉を遮るようにはっきりと。 俺は言い放った。 「俺は結城が好きだよ。 どんな奴だろうと関係ない。 …お前にどうこう言われる筋合いない」 これでいいだろ? これで満足だろ? 千花が結城のことを悪く言えば。 あいつの闇を知ってる俺も同じように言われている気がした。 俺も結城と同じなんだ。 千花とは違う。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!