第3章

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私は部屋の床を蹴った。 玄関を素早く通り抜け、自転車に乗る。そして自転車をこぐ足に力を込める。 目的地は…悠斗の家。 もう時間は9時をまわっていた。 が、そんなこと構わない。 悠斗の側に…居たいの!! 「悠斗ッ!!…」 「な…紗智…なんだよいきなり」 悠斗はあらかじめ外に呼び出しておいた。 私は汗だくになっていた。 夜はまだ冷えるという季節なのに。 「あたし…悠斗を助けたいの」 「…え?」 放っておけない、悠斗を助けたい、悠斗の側にいたい。 悠斗が… 好き… そんな思いが入り交じる。 私はこの思いを胸に留めておくことが出来なかった。 こんこんと、溢れるように、悠斗に伝えたい言葉が出てきた。 「悠斗が好きで、悠斗が苦しんでるときに助けたいの。側に居たいの。もう独りで苦しまないで…お願いだから…」 私は悠斗の目を見てはっきり言った。 途中…涙が溢れそうになったけど…我慢した。 「紗智…俺…」 「悠斗…悠斗は独りじゃないんだよ…?」 瞬間… 息が苦しくなった。 緊張のせい…? ううん… 違う… 私… 悠斗に抱き締められてるんだ… 強く、強く。 まるでその強さが悠斗の感情を表しているようだった。 私はそっと悠斗の背中に手を回した―――――
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