3876人が本棚に入れています
本棚に追加
異世界からの殉教者
ほろ暗い森の中、月の光でほんのりと複数の影が映し出されている。
その影の中心には大鎌を持った赤い瞳の影。
その赤い瞳の影は月の光の反射で後ろに尖った白金の髪が輝く。
舞い上がる鮮血が暗闇を飾る。
複数の影は冷酷無情に破壊され、草の中に倒れていく。
辺りににこだまするは魂の叫び声と香ばしき絶叫の旋律。
赤い瞳を隠す前髪に飛び散る鮮血はすぐに吹き飛ぶ。
ほろ暗い森には恐怖が生ける者を蹂躙し、万死が共鳴していた。
闇色の刃が刻むは終末の絶叫と赤銀の痛み、歪の恐怖と絶対零度の絶望。
その赤い瞳の影こそが恐怖をまき散らす元凶、魂喰らいの大刃は時を刻むように命を刈り取る。
それこそが真の恐怖、その恐怖は死よりも恐ろしく、死神よりも冷酷に。
今、黒い影の周りは朱色の痛みで満たされる。
黄昏の物語の序曲は奏でる。
壮大なる魂喰いの交響曲を……。
最初のコメントを投稿しよう!