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「数学の問題を聞きに行こうと思って…」
「水谷先生に…??」
あたしが頷くと、向井くんはニコッと笑って
「俺が教えてあげるよ」
と言ってきた。
「い、いいよ!!向井くんに迷惑掛けちゃうし…」
「大丈夫だって。俺、数学得意だし、わざわざ並びに行くことないって」
じゃあ、勉強すっか
と向井くんは杏里の前の席を動かし向き合うように座った。
此処までくると何も言えないあたしは杏里の隣の席に腰をかけた。
「向井に教えてもらわなくても、大丈夫なんですけどー」
杏里が冗談っぽく向井くんに言ったが
「だったら、望月の専属の先生で」
それでも笑顔を絶やさない向井くんに杏里は勝てなかった。
それから数学のテストの前日まで帰りは毎日、向井くんに教えてもらって
先生に会いに行くことが出来なかった。
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