鬼の上司

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周囲を見回すとやくざが引き上げ始めている。 女の子も車に乗せられてしまったようだ。 あの男も一緒に消えていた。 「やっちまった。」 電話に夢中になって助けるのを忘れてた。 「純。なんで助けなかったんだよ?」 「だって竜ちゃんがいないと、僕1人じゃ怖いもん。」 ・・・見もフタも無い台詞ありがとう。 「あとで饗ねぇに聞けば大丈夫だよ♪」 ただのやくざ達なら響子さんに言えば大丈夫だろう。 だが、あの男・・・あの威圧感は普通の人間じゃないことは確かだ。 「後であたりをつけてもらおう。」 そう言ってると、辺りに爆音が鳴り響く。 「・・・来たよ。」 「・・・来たな。」 2人でため息をつく。 響子さんの愛機『オスプレイ』だ。 ちなみに軍用ヘリ。 どうやって入手したのか、ドコに置いてあるのか聞いているのだが「内緒・」と返ってくる。 渋谷のど真ん中に軍用ヘリ。 警察もなぜか来ない。 ・・・響子さんの人脈はどうなっているんだ?っいうか日本はこれでいいのか? そんなことを思っていると着陸。 ちゃんとパーキングエリアに停めるところは可愛げあると思う。 「さぁ仕事よ!仕事!」カラオケの1室に入り、仕事内容を聞く。 「この子を探して保護して欲しいの。」 と言って、写真を見せられる。 「!?」 「この子!」 さっきやくざに拉致されていた女の子だ。 「何?知ってるの?」 訝しげな表情。 「いや、さっき見たんだけど・・・」 「ドコにいるのよ?」 「やくざにさらわれちゃった。」 響子さんがみるみる顔色を変える。 「・・・あんた達、みすみす見逃したわけ?」 「いや、饗ねぇから電話があったから・・・」 「言い訳無用!すぐに追いかけなさい!」 「ハイ~~!」 純が怒られる・・・俺もか。 「饗子さん。ちょっと待ってください。」 「何?」 「ヤツラの中にテラーがいた。」 饗子さんの顔に緊張が走る。
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