一、三番目の花嫁

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  結婚。 それは女なら誰しもが憧れるであろう、長い人生の中の最も幸せな一時(ヒトトキ)。 花嫁衣装に身をつつみ、恥じらう様に初々しく頬を染めて、契りを結ぶ夫となる男の腕に、その白い手を添える。 まさに、夢に見た最高の瞬間である。 そう。女の夢にまで見た憧れの時だ。 結婚までに行くには三通りある。 勢いで結婚してしまったり、じっくりと何年もかけてから結婚したり。 あるいはお見合いなど、恋愛をすっ飛ばしたりする事もあるのだ。 かく言う、大臣の娘ならば後者になる確率は高い訳で……。 サーハルジア王国の第二大臣の娘マーヤはその確率に引っかかってしまっていた。 「ちょっと……もう一度言って下さいます?お父様」 マーヤは父親であるサーハルジア王国の第二大臣サフスの目を睨み付けた。
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