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ゲホッゲホッ
(儂もこれまでか……長いようで短い人の世であった…勘助、信繁、…義信……すまぬ。そちらの無念はらすことできなんだ……四郎に信長は倒せまい……不識庵に助けを求める他ないやもしれぬ……重臣どもの言うことは聞かぬであろう……せめて…せめて儂が武王信勝が元服するまでもてば信長など一蹴して…………)
コンコン
「誰…じゃ」
「武藤昌幸にござりまする」
「入れ」
「なんじゃ。信長が攻めてきたのか。」
「いえ、他のことで……」
「戦以外のこと話す余裕などない。下がれ。」
「…………御屋形様の病、必ず治すと言う者が陣中に紛れ込んできて捕らえたのですが………」
「坊主か」
「いえ、噂に聞く南蛮人でござりまする。」
「信長の刺客であろう」
「いえ、もし病状回復しなければ斬られても文句は言わぬと。しかしもし回復したならば船一隻と船乗りを何名か貰いたしとのことでござりまする。」
「………いずれにしろ長くない余命じゃ。賭けてみよう。通せ。」
「かしこまりましてござりまする。」
(これは諏訪大明神の加護か…………光が見えて来たぞ……)
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