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キーンコーンカーンコーン…
先程聞いたチャイムが耳に届き、俺は憂鬱そうに顔をあげた。
いつの間にか寝てしまったようだ。先生はこちらを向くと思いっきり顔をしかめた。俺は下らないと思い、見つめ返す。すると罰の悪そうな顔をして先生は前に向き直った。
「…はぁ…」
教室の明かりが眩しくて目を手で覆う。
「起立、礼」
委員長の抑揚の無い声が聞こえた。
「疲れた…」
ボソリと独りで呟いてさっさと帰る準備を進める。ざわざわと耳障りな、人の喋る声が聞こえてきた。それに混じって翔が後ろから飛び付いてくる。
「翔、一緒に帰ろうぜーっ!!」
「あ、うん。分かった。」
何故こう、群れたがる?
俺はそれが分からない。
家に帰ったらパソコンをしよう。まだ攻略してないゲームがひとつあった筈だ。
自分でも何をしたいのか分からないが、機械は良い。
命令通りに従うし、それ以上の事はしない。
「………下らない」
俺の声は、煩い教室に吸い込まれていった。
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