第2話

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実乃梨 「だ、大丈夫!?ごめん、後ろにいたの気がつかなくて~!うおお……今、完全に中指がつるっとしたところ触っちゃったよ」 竜児 「……気にするな。たいしたことはない」 実乃梨 「本当にごめんねえ!……ええとなんだっけ、そうそうさっきの続きだけど、そのバケツの縁の固まった部分がね、こう、こんなふうに、」 竜児 「おぅっ……!」 実乃梨 「わー!今度はもっと深くいったー!ごめんー!」 竜児(N) 「しかし一体、さっきからなんのバケツの話をしているのだろう―――そんな疑問が知らず表情に出ていたのか、」 実乃梨 「バケツでね、私、プリンを作ったのです」 竜児(N) 「実乃梨は指をグッと自ら掴んで」 実乃梨 「もう誰も傷つけるまい」 竜児(N) 「ときつく戒めつつ、重々しく俺に告げてくれた。いや、告げてくれたというか、」 実乃梨 「高須くんはプリン、好き?」 竜児(N) 「会話が始まってしまった。竜児の心臓は急激に怒張するが、気の利いたことなどなにひとつ言えない。狂おしいほどにもどかしい。せいぜい、」 竜児 「……おぅ……」 竜児(N) 「ぐらいが精一杯。実乃梨は」 実乃梨 「バケツでプリン。それは女の欲望番外地」 竜児(N) 「などとうっとり頬(ほお)を染めている」
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