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実乃梨
「だ、大丈夫!?ごめん、後ろにいたの気がつかなくて~!うおお……今、完全に中指がつるっとしたところ触っちゃったよ」
竜児
「……気にするな。たいしたことはない」
実乃梨
「本当にごめんねえ!……ええとなんだっけ、そうそうさっきの続きだけど、そのバケツの縁の固まった部分がね、こう、こんなふうに、」
竜児
「おぅっ……!」
実乃梨
「わー!今度はもっと深くいったー!ごめんー!」
竜児(N)
「しかし一体、さっきからなんのバケツの話をしているのだろう―――そんな疑問が知らず表情に出ていたのか、」
実乃梨
「バケツでね、私、プリンを作ったのです」
竜児(N)
「実乃梨は指をグッと自ら掴んで」
実乃梨
「もう誰も傷つけるまい」
竜児(N)
「ときつく戒めつつ、重々しく俺に告げてくれた。いや、告げてくれたというか、」
実乃梨
「高須くんはプリン、好き?」
竜児(N)
「会話が始まってしまった。竜児の心臓は急激に怒張するが、気の利いたことなどなにひとつ言えない。狂おしいほどにもどかしい。せいぜい、」
竜児
「……おぅ……」
竜児(N)
「ぐらいが精一杯。実乃梨は」
実乃梨
「バケツでプリン。それは女の欲望番外地」
竜児(N)
「などとうっとり頬(ほお)を染めている」
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