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「にゃんやー、このむっちゃ甘ったるいんー」
舌先をべぇっと口から出し、舌に乗った物を俺に見せてくる。
「飴」
「あめぇ?」
「飴はお菓子だろうが」
男は飴を含んだまま、口をあんぐりと開ける。
いい間抜け面だ。
俺の性欲を抑えるにはちょうどいい。
「お菓子やったから、イタズラはなしな」
なんとなく本能的にだが、こいつの思惑に乗るのは危険な気がする。
確かに、気持ちよくなっちゃいそうな気はするが、それがまた危険な気がする。
「じゃぁ、そう言うことで」
「なんやねん!ちょお待てやぁ!」
男が俺の制服の裾をつかむ。
「Trick or Treat!!!」
「だから、やったじゃねぇか」
飴玉を指して言うと、奴は必死の形相をする。
「キミのお菓子なくなるまで言い続けるから!!」
その必死さがなんか自棄に可愛い。
さっきまでの、どうにかしてめっちゃく茶にしたいとか言うそんなんじゃなくて、なんかいじらしい。
「……それが通用するのは今日だけだぞ」
「ぅえぇ?」
そう言っただけで、奴は泣きそうな顔で俺を仰ぎ見た。
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