ぼくのサイキュバス

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 ほだされたのか。  まんまと罠に引っ掛かったのか。  「お菓子を貰ったらイタズラしちゃいけないって誓約がなくなるだけだろ」  なんて、助け舟を出してしまう。  「…ほんま?」  涙を拭う指先の向こう、きゅっといたずらな目が俺を見る。  小悪魔ってまさにこのことなんだろう。  「せぇヤッたら、“今日は”いぃっぱいお菓子ちょうだい」  「なんでそうなる」  「せやって、今日はお菓子の日なんやろ」  嬉しそうな顔の奴を見上げる。  見上げる?  明らかに俺より小さな体が俺の上にある。  
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