創世神

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目の前に、神々しい輝きを放った‐何か‐がいた。 「こんな世界を救ってしまったのが間違いだったみたいだな。」 「貴様、誰だ!」 俺は聞いた。ややあって、それは答えた。 「お前達が、神と言ったものだ。」 「なっ…。」 「…、あなたが、私達から自由を奪ったのね…。」 「女、何を言っている?」 「あなたが私達に力を擦り付けたから、世界から逃げなければならなくなった!」 「だから、こんな世界を救ってしまったことを後悔していると言ったんだ。お前達がその力を持っているから、その力で魔物と戦っているから、この世界は保たれているというのに、愚かな人間達は、自分と違う人間を排除しようとする。人類皆平等などと良く言ったものだ。」 「何故私達だったの?」 「お前達は、その力を手放したいか?」 「今すぐ…。」 「いや、俺は手放さない!」 「ユウキ!?」 「この世界には、神様なんて必要ない。勿論魔王もな。」 「何が言いたいのだ?」 少し間を置いて…。 「この力を持って、ギガンテスと…、お前を、消す!」 俺は剣を構えた。 「愚かな。私は神だぞ?私の作り出した人形に、やられるわけ無かろう?」 「ぐっ!」 「ユウキ!」 全く動かないユウキを見て、セレンは叫んだ。 「女、お前の記憶は、誰が作り出したと思う?いや、誰がお前を消滅から救ったと思う?」 「…どういう事よ?」 「お前は、ギガンテスと対峙したとき、私が力を貸さなければ、消滅していたのだぞ?お前が消えてしまえば、この世界は均衡を保てなくなる。だから、無くした記憶に別の記憶を当てはめ、無くした命の代わりに永遠の命を与えた。…お前には、‐この世界の神‐になってもらいたい。この世界の均衡を保つための…。」 「勝手なこと言わないで!私はユウキと二人でずっと一緒にいたいの!片時も離れたくないの!」 「だが、世界が無くなれば、その願いも叶わなくなる。お前が犠牲になれば、全てが丸く収まる。過去、女が一人になったように、男も一人になる。それだけだ。死ぬわけではないのだから、会おうと思えば会えないこともないしな。」 私は、自分の運命を呪うわ。 人類平等と言うなら、私達も幸せにしてよ。 神様は、やっぱり非情だ。 私達は人じゃないから、 平等じゃなくて良いというの? 私達も、 普通の暮らしがしたかった。 ユウキは目覚めた。 私が神になるなんて、言えない…。
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