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…。
俺達は、何も言えなかった。話をしているギガンテスは、とても嘘をついているようには見えなかった。
声を震わせ、泣きながら話をしていたのだから…。
「ギガンテス…。お前の話はよく分かった。協力しようじゃないか。」
俺は言った。
「ユウキ…。私も、ギガンテスに協力してもらうのに…、賛成だよ。」
「おっ、お前等…。」
俺達とギガンテスは、握手を交わした。
「あいつを呼び覚ますには、力が必要だ。残念ながら、俺は、月が出たらこの世界にはいられない。その力を手にするためには…!」
その声は、何かによってかき消された…。
‐馬鹿者、お前も私の人形に過ぎぬ!世界の均衡を保つにはお前は邪魔なのだよ!‐
「これじゃあ、どっちが神で、どっちが魔神か分からねぇじゃねぇか。」
俺は思った。ギガンテスは、俺達が神の味方だと思ったから、攻撃したに過ぎない。元はと言えば、あの神野郎‐ゼウス‐さえいなければ、何事もなく世界は回っていたのではないか?
「それは違うわ。」
「セレン?」
「ゼウスは、あくまで、この星を護ることを考えている。魔神がいなくなれば、世界の秩序が保たれて、世界は平穏に回っていくのよ。だからゼウスはギガンテスを排除しようとしている。だけど、ギガンテスは、愛する家族から己を引きはがしたゼウスを許せない。だから、ゼウスを排除しようとする。だけど、創世神がいなくなれば、秩序は乱れ、この星は崩壊する。その場合、星の秩序を保ちたいのであれば、新たな神を作るしかない…。」
「セレン、どうした?」
セレンの声が、途中から震えていた。
「私が、犠牲になれば、あいつを、倒せるんじゃない?」
「なっ、何を言ってるんだ?」
「力っていうのはそういうことでしょう?」
「だけど、君が犠牲になったら、どんな力が生まれると言うんだ?」
「…、もう一度、世界の中心へ行きましょう。」
俺達は、改めて、世界の中心へ向かった。
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