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いつもと同じ朝。
やけに朝が早い気がする。
ぼーっとする頭でそんな事を思う。
眠い体を無理矢理起こしてカーテンを開けた。
日差しが眩しい。
今日も晴れか。
「祐介(ユウスケ)!早く起きなさい!」
下で母さんの声。
しょうがないだろ。昨日遅かったんだから。
声には出さず文句を言う。
重い体を引きずるように制服を着て、鞄を持って下に下りた。
鞄なんてたいした物入ってないんだけど。
「早くご飯食べちゃって」
俺を見るなり、焼きたてのトースト片手に母さんが言う。
すでにテーブルには、サラダやスープが用意されている。
食欲、出ないな。
今は食欲よりも眠気の方が勝っている。
「お兄ちゃん、早く食べないと遅刻するよ」
妹の詠美(エイミ)の声。
中学二年の生意気なガキ。
俺は詠美を無視して、俺用に用意されたコーヒーを一口飲んだ。
苦味が口の中に広がった。
少し眠気が覚めたような気がする。
「行ってきます」
それだけ行って玄関に向かう。
後ろで母さんが何か言ってるのが聞こえたが、そのまま玄関を潜り外に出た。
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