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外はもう夏の気配だ。
しばらくして梅雨になり、本格的な夏がくる。
体が日差しを受けるせいか、目だけじゃなく体も目が覚めてきた。
擦れ違う生徒の数が増えてくる。
学校までの百メートル。
膝の高さの石垣が校門まで続いている。
石垣の向こうは桜並木だ。
今年も桜は満開だった。
真樹(マキ)にねだられて今年もここで写真を撮った。
真樹とは高校入って付き合い出した。
もう一年も付き合っている。
『あたしと付き合ってよ』
入学式。突然言われたのが始まりだ。
その時の俺の返事は…。
『別にいぃよ』
何が別にかわからない。
特に彼女が欲しいわけでもなかったから、適当に返事した。
それが正しい答えかも。
俺達が付き合い始めて、よくわからなけど俺達の噂が立ったらしい。
らしいって言うのも、俺自信は全く知らなかったからだ。
『あたし達、噂になってるよ』
真樹が楽しそうに言ってたのを覚える。
【美男美女】
それが俺達に付けられたネーミングだ。
美男美女…ね。
俺のどこを見て美男と言うのかわからない。
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