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真樹は。
多分、美人なんだろう。
そんな事言うと男共は怒るんだろうな。
実際付き合い始めてからも、真樹は何度も告られてるらしい。
らしいは、俺はその場面を見た事ないからだ。
真樹がいちいち俺に報告してくる。
『どうして怒らないの?』
その度に真樹が言うセリフだ。
断ってんだから、何で怒らなきゃいけない?
嫉妬。
多分真樹はして欲しいんだろう。
まあ、一応はわかってるんだけどね。
「祐介ーっ!」
真樹の声だ。
前方で手を振っている。
朝から元気な奴だ。
「寝坊したんでしょ」
俺が真樹のいる所までたどり着いたと同時に言う。
わかってるならわざわざ言うな。
声には出さず…。
言ったら倍に返されるのは間違いない。
「寝癖ついてるよ」
背伸びして俺の前髪を直す。
目の前にある真樹の首には細いネックレス。
去年のクリスマスに俺が買ってやったヤツだ。
真樹は毎日着けている。
俺の視線に気付いたのか、真樹はネックレスの鎖を摘んで、へへっと笑った。
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